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監修:国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授/山王病院アレルギー内科 足立 満 先生

INTERVIEW 専門の先生に聞いてみました。

【第7回】気道が敏感な状態がよくなるには、時間がかかります 症状がおさまっても治療をやめずに、抗炎症治療を続けましょう

福田 健 先生 獨協医科大学 副学長 呼吸器・アレルギー内科 教授

コメンテーター

福田 健 先生
獨協医科大学 副学長 呼吸器・アレルギー内科 教授

夏は気温の上下が少ないので、
比較的喘息の症状が落ち着いている患者さんが多い季節です。
でも、エアコンの冷気や蚊取り線香の煙などで、
咳込むようなことはありませんか?
思い当たる方は、今症状がなくても、刺激に対して気道が敏感になっています。
今回は、気道の炎症と過敏性について、
福田先生に詳しく教えていただきました。

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エアコンの冷気や蚊取り線香の煙などで、咳込むことはありませんか?

喘息の症状は、天気や環境により悪くなりやすいので、一般的に春先、梅雨、秋口などの季節の変わり目に悪くなるかたが多くいらっしゃいます。夏は気候が比較的安定していますので、調子を崩す患者さんは少ない季節です。
しかし、例えばエアコンの冷たい空気にあたったり、蚊取り線香や法事の線香の煙を吸い込んだときなどに咳込む、というご経験があるかたは、気道が「敏感」になっています。これを医学の専門用語では「気道過敏性」といいます。

喘息患者さんの気道は炎症を起こして敏感になっている

喘息ではない人 喘息の患者さん

では、気道が敏感になっているというのは、どのような状態なのでしょうか?気道は体の内部にあって目で見ることができませんが、口内炎ができたときを思い浮かべてください。塩辛いものを食べるとしみますよね。でも、普段は同じことをしてもしみたりしません。喘息患者さんの気道もこれと同じで気道の粘膜が荒れてしまっている状態なのです。このような状態ですと、わずかな刺激にも敏感に反応して、気道がぎゅっと縮んでしまいます。その結果、空気の通り道が狭くなって、咳込んだり息苦しくなったりするのです。
気道の粘膜が荒れて敏感になる原因には「炎症」があります。季節の変わり目や刺激が加わったときに症状が出るのは、気道に慢性的な炎症が起きていることが原因です。

気道過敏性が改善するスピードはゆっくり

一般に、吸入ステロイド薬を使い始めると、炎症がおさえられ、症状もおさまってきます。
しかし、肝心なのはここからお話することです。症状がおさまると、吸入ステロイド薬の使用をやめてしまったり、忘れがちになる方がおられますが、実はこれが重要な問題です。 吸入ステロイド薬を使い始めた喘息患者さんの状態を調べたある研究では、まず最初に症状が落ち着き、続いてピークフローなどの呼吸機能がよくなって、発作治療薬の使用が減ってきました。しかも、このような改善の過程は、半年くらいの間にみられています。一方、気道の敏感な状態(気道過敏性)が改善するスピードは、さらにゆっくりで、改善には半年以上かかることが多いとされています。つまり、症状がなく、呼吸機能も改善して、一見よい状態でも、気道が敏感な状態は続いているわけです。ですから、もう症状が出なくなったからと言ってここで治療をやめてしまうと、炎症や気道が敏感な状態は改善せず、再び元の気道の状態に戻ってしまい症状が起きてしまいます。

「吸入」は理にかなった治療法

薬が届く範囲

このように、吸入ステロイド薬は症状がおさまっても使い続けることが大事です。
吸入ステロイド薬は、その名の通り、薬剤を吸い込んで使用します。そして、吸い込んだ薬は直接、気道に届きます(図)。これは、喘息の治療にとって、たいへん理にかなっています。なぜなら、喘息は気道の病気なので、気道だけに薬が届けばよいからです。しかも、薬を届ける先を気道にしぼっているので、必要なステロイドの量も内服に比べてごく微量ですみます。ですから、吸入ステロイド薬では全身性の副作用はほとんどないと考えます。他の病気の場合、このように病気がある部分にだけお薬を届けるというのは難しく、吸入ステロイド薬というのは局所治療ができる数少ないお薬のひとつといえます。

継続は力なり

喘息は、吸入ステロイド薬が治療の基本となった今、きちんと治療すれば「健康な人と変わらない生活」を送ることができるようになりました。
私の患者さんの中に、若い頃からずっと喘息で、しかも毎日会社に出勤するのも大変なくらい重症な方がおられました。この方は、気道の炎症をおさえる治療をしっかり続けることで状態がよくなり、ついには海外で4000m級の登山に挑戦されるまでになりました。私にとって心に残る患者さんのお一人です。
症状の感じ方は人それぞれなので、咳が出たり、胸がゼイゼイしたり、運動したときに苦しくなっても、「喘息だから当たり前」「仕方ない」と思っている方がおられるかもしれません。でも、きちんと治療すれば、この患者さんのように、これまでできなかったことにもチャレンジできます。薬の種類も増えていますから、あきらめないでかかりつけの先生に相談してください。そして、症状が安定している夏場にこそ、吸入ステロイド薬をしっかり続けてください。

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