喘息(ぜんそく)の正しい知識と治療についての総合サイト

監修:国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授/山王病院アレルギー内科 足立 満 先生

INTERVIEW 専門の先生に聞いてみました。

【第8回】風邪などが原因で症状が出やすいこの季節、毎日の気道炎症の治療が重要

浅本 仁 先生 浅本内科医院 院長

コメンテーター

浅本 仁 先生
浅本内科医院 院長

寒さの厳しい冬、なんだか調子が悪いな、ということはありませんか?
風邪やインフルエンザの流行するこの季節、
喘息の症状が出ないようにするために、
喘息患者さんの気道の状態と炎症治療の重要性について、
浅本先生に解説していただきました。

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喘息患者さんの気道は、真っ赤に日焼けした皮膚のような状態

冬は、風邪をひいたあとに喘息症状が悪化する患者さんが増えてきます。また、冷たい空気や乾燥などにより、症状が出たり発作が起こってしまうことがあります。これは、喘息が空気の通り道である気道に炎症が起こる病気だからです。
正常な気道では、気道の内側はいつも湿った粘膜でおおわれています。空気が気道を通るあいだに小さなホコリや細菌などの異物は粘膜の粘液()に捉えられて、繊毛上皮細胞によってエスカレーターのようにのどや口に運ばれて除かれます。
しかし、喘息患者さんの気道では炎症が起こり、粘膜が腫れて、ところどころはがれて、エスカレーターが動かない状態。そのため、がつまりやすくなっています。また、はがれた粘膜の下から神経がむき出しになっており、過敏な状態になっています。強い日差しに長時間当たって、日焼けしたことを想像してみてください。皮膚が赤くなって皮がむけ、ヒリヒリします。気道も炎症により、同じように赤く腫れた状態なっています。このため、喘息患者さんの気道は、ちょっとした刺激で気管支がけいれんし、収縮してしまい、息をするたびにゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)や息苦しさ、胸が詰まるといった喘息の症状が現れます。冬場は、冷たい空気や乾燥、炎症を悪化させる風邪などにより、症状が出やすくなりますので、手洗いやうがい、インフルエンザの予防接種などの予防策とともに、炎症を鎮める吸入ステロイド薬をきちんと継続することがとても大切です。

ステロイド薬を正しく使いましょう

では、次にステロイド薬について説明しましょう。ステロイド薬には、飲み薬、吸入薬、注射薬などの種類がありますが、吸入ステロイド薬は、気道に直接お薬を届けて、炎症を治療します。
気道の炎症を火事に例えてみましょう。火事が起こったら、広がる前に燃えている場所に直接水をかけて消火しますよね。それと同じで喘息は気道が燃えている(炎症を起こしている)状態ですから、吸入ステロイド薬を使って気道を直接消火すればばいいわけです。ここで、重要なのが“正しく”吸入すること。正しく吸入しなければ、お薬のほとんどが口の中や、のどの入り口についてしまい気道まで届きません。時々は、かかりつけの病院や薬局で正しく吸入できているか確認してもらいましょう。

炎症を抑える治療を続けることが大切

吸入ステロイド薬が喘息治療に使われるようになってから、喘息発作で死亡する患者さんは激減しました。炎症を繰り返すと、気道は硬く分厚くなり、狭くなります。ですから、そうなる前に、きちんと気道の炎症を抑える治療を続けることが重要なのです。
しかし、実際には「ステロイド」を嫌がる患者さんも多いですね。このような患者さんのなかには、スポーツ選手のドーピングで問題になる筋肉増強剤と混同されている方がいらっしゃいますが、喘息治療で使う(吸入ステロイド薬)は、筋肉増強剤とは全く違うものです。ステロイドは、もともとヒトの体でつくられ、生きていくために必要不可欠なものです。また、吸入ステロイド薬は、使う量も、ヒトが1日につくるステロイドよりもずっと少なく、しかもほとんどが気道だけで作用します。
症状があっても「いつもこんなものだから」とそのままにしておいたり、症状がないからといって吸入ステロイド薬の吸入を勝手にやめてしまうことのないよう、お医者さんに指示された通りに、吸入を続けましょう。

毎日の吸入を習慣にして、症状・発作のない生活を目指しましょう

喘息の特徴のひとつは、適切な治療を継続すると、健康な人と変わらない生活が送れることです。ご説明したように、喘息の治療では、気道の炎症を鎮める吸入ステロイド薬を毎日使います。それでも喘息症状がある場合には、気管支拡張薬というお薬で気管支を広げて、症状を和らげます。
ところが、ある調査によると、喘息の状態が悪い患者さんは、喘息が悪化したときだけ吸入ステロイド薬を使用する傾向があるそうです。また発作時に受診せず、症状のとれる気管支拡張薬ばかり使うと、炎症が残ったままになっていることもわかりました。
繰り返しになりますが、喘息では気道の炎症を治療しなければいけません。喘息の治療で一番大切なことは、喘息の症状・発作を予防することです。毎日歯磨きをしていれば虫歯になりません。同じように、毎日吸入ステロイド薬を吸入していれば、喘息発作が起こりにくくなります。毎日の吸入を歯磨きと同じように習慣にして、きちんと続けましょう。

喘息は変化しやすい病気です

お薬や治療法の進歩により、多くの患者さんが喘息症状の無い、良好な状態に保てるようになりました。 しかし、喘息はさまざまなきっかけで状態がすぐ変化する病気です。毎日の吸入を続けていても、症状が悪化してしまうこともあるかと思います。発作が起こった時にはお医者さんの指示に従い、我慢せずに発作の治療をしましょう。それでも、ピークフロー値がいつもより低い(最高値の60%以下)、横になれず、会話をするときにひとつのセンテンスの間に息つぎが必要、などの場合は重症発作のサインですから、すぐに受診するようにして下さい。

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