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INTERVIEW 専門の先生に聞いてみました。

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【第9回】⾃分の喘息の状態をきちんと把握して、医師に伝えることが重要です。早めにきちんと炎症の治療をすることで症状をなくしましょう。

菅原 洋行 先生 すがわら内科呼吸器科 院長

暖かくなったかと思ったら、また寒くなったりと、気温の変化が激しい春。喘息症状が悪化することはありませんか?

喘息症状が悪化してしまったら、どう対処したらいいのか、多くの患者さんをご指導されている菅原先⽣に伺いました

コメンテーター

菅原 洋⾏ 先⽣

すがわら内科呼吸器科 院⻑

 

年間を通して⾃分の喘息症状を確認してみましょう

喘息は、気温の変化や⾵邪、ほこりやカビなどさまざまなことが原因となって、症状が悪化する病気です。たとえば、⾵邪をひいてしまったり、ほこりっぽい場所にいったり、季節の変わり⽬、乾燥している時期など、⽇常⽣活のさまざまな原因で症状が悪化します。私の施設がある北海道の苫⼩牧のエリアでは、気温の変化の激しい6〜7⽉頃や乾燥の始まる10〜11⽉頃、⾵邪の流⾏する時期などに症状が悪化する⽅がいらっしゃいます。すべての原因を取り除くことは難しく、治療を続けていても、時には悪化してしまうことがあります。また、患者さん⼀⼈ひとり、喘息症状が起こる原因や時期が違います。

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そこでお勧めするのが、ご⾃分の喘息の状態を記録しておくことです。できれば⾃宅で呼吸の状態を測定できるピークフロー値を記録していただきたいのですが、難しければ、症状がなかったか、⽣活に⽀障はなかったか、発作治療薬を使ったかを⽉の初めや受診の時などに振り返って、記録してみましょう。

1年2年と記録すると、「⾵邪をひくと調⼦が悪くなるんだな」「ほこりっぽい場所にいくと喘息が悪化するんだな」というように、ご⾃分の喘息が悪くなる時期や原因が把握できると思います。時期や原因が分かれば、そのときの症状のサインに気をつけて、悪化しないように普段からしっかり治療をすることが⼤切です。また、それでも症状が出てしまったときの対応を医師にきちんと確認しておきましょう。

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症状がなくても気道には炎症が!

ではなぜ、ときどき調⼦が悪くなるのでしょうか?これは、喘息が気道がぎゅーっと縮まって息苦しくなるだけの病気ではなく、症状がない時にもいつも気道炎症を起こしている病気だからです。炎症を起こしているので、ちょっとした刺激にも過敏に反応して、悪化しやすい状態となっているのです。

この炎症を放置すると、気道の壁がだんだんと分厚くなり、気道がいつも狭い状態になってしまいます。これを気道リモデリングといい、こうなると元に戻らなくなります。このリモデリングを防ぐため、症状がなくても、炎症をしっかり治療することが重要です。

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炎症を治療してくれる吸⼊ステロイド薬を続けましょう

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次に、治療についてお話しましょう。喘息は、気道炎症が原因の病気ですので、吸⼊ステロイド薬という炎症を鎮めるお薬で治療します。

私が医師になった頃は、まだ吸⼊ステロイド薬があまり使われておらず、気管⽀拡張薬と呼ばれる気道を広げるお薬での治療が中⼼でした。気道を広げると息苦しさは改善できるのですが、症状の原因となる炎症は治療できていませんでした。その後、1990年頃から吸⼊ステロイド薬による治療が主流となりました。これにより、喘息の悪化を防ぐことができ、喘息治療は⾶躍的に向上しました。

現在では、吸⼊ステロイド薬による炎症を鎮める治療を継続することで、症状のない⽣活も実現可能です。症状がなくなったからといって、毎⽇の吸⼊をやめてしまうと、気道には炎症が残ったままとなります。そうならないためには、きちんと吸⼊ステロイド薬による治療を続けましょう。

 

正しくお薬を吸っていますか?

ステロイドと聞くと、副作⽤を⼼配される⽅も多いのではないでしょうか。吸⼊ステロイド薬は、錠剤や注射のステロイド薬に⽐べて、含まれているステロイドがずっと少なくなっています。そのため、全⾝的な問題が起こることはほとんどありません。「ステロイドは怖いから」と勝⼿に吸⼊をやめてしまったり、量を減らしたりせず、医師の指⽰通りに続けてください。⼀つだけ注意点。吸⼊後、お薬がのどについたままになると、声がれなどが起きることがありますので、吸⼊後のうがいを忘れずに⾏ってください。

また、ときどき、吸⼊をきちんと続けているのに、なかなか症状が良くならないという⽅がいます。そういう⽅は、⼀度、吸⼊をきちんとできているか、医療機関や薬局で確認してもらうといいでしょう。

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症状を放置しないで「症状ゼロ」を⽬指しましょう

喘息治療の⽬標は「症状ゼロ」。つまり、健康な⼈と変わらない⽣活を送れるようにすることです。患者さんの中には症状があっても「いつもこんなもの」「これくらいは苦しくない」とそのまま過ごしてしまう⽅がいます。が気になることはありませんか?もう少しひどくなると、夜間や明け⽅に症状で⽬が覚めてしまったり、息を吐いたときやき込んだ後にゼーゼー⾳(喘鳴)などがありませんか?症状は放置すると少しずつ悪化してしまいますので、どのような症状が、どのような場⾯で起こったかを忘れないように記録しておき、その時の対処、受診するタイミングなどを医師ときちんと話しあっておくことが⼤切です。喘息は治療を正しくきちんと⾏うと、よくなる病気です。

症状のない毎⽇を⽬指して、上⼿にコントロールをしていきましょう。

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>第13回 お薬をやめたくなっても気持ちを切り替えて、調子が良い時もしっかりお薬を続けましょう。

>第12回 特別編 対談 力富先生「喘息は症状が治まってからが勝負です」平松先生「目標を高くもって、治療しましょう」

>第11回 喘息について、検査について、正しく理解することが治療へのチカラになります。

>第10回 正しい治療を気長に続けることが何より大事。あなたの現在と将来の健康のために毎日の吸入を続けましょう。

>第9回 自分の喘息の状態をきちんと把握して、医師に伝えることが重要です。早めにきちんと炎症の治療をすることで症状をなくしましょう

>第8回 風邪などが原因で症状が出やすいこの季節、毎日の気道炎症の治療が重要

>第7回 気道が敏感な状態がよくなるには、時間がかかります 症状がおさまっても治療をやめずに、抗炎症治療を続けましょう

>第5回 喘息治療薬をきちんと続けて毎年の花粉の時期にも症状をコントロールしましょう

>第4回 喘息は、「生活環境病」 でも、きちんと治療すれば、環境に左右されにくくなります

>第3回 喘息は「動く病気」。適切な治療を続ければ、よい方向に動く

>第2回 夏は症状の落ちつく季節 それでも、喘息は休んでいません

>第1回 喘息の「誤解」をなくし、症状ゼロを目指しましょう