花粉や黄砂、春の環境変化は喘息患者さんの症状に影響する
春本番を迎えると、スギ花粉に加え、日本各地に大陸から風で黄砂が運ばれてきます。どちらも喘息患者さんの症状を悪くしますので歓迎されないものですが、花粉の場合、飛散量が少ない年は喘息への影響も少なくて、大量に飛んだ年は調子をくずす患者さんが増加します。しかし黄砂が飛ぶと、量には関係なく7~8割の喘息患者さんが不調を感じるようです。
咳や喘鳴(ぜんめい)など喘息の症状は、炎症によって過敏になっている気道に刺激が加わると起こります。気道は先端(肺の奥のほう)にいくほど細くなっているので、粒子が小さいものほど奥まで届きやすく、気道を刺激します。黄砂の粒子はたいへん小さく、花粉のおよそ10分の1しかありません。そのため、黄砂は吸い込む量に関係なく喘息患者さんの気道を刺激します。

また黄砂は、大陸の内陸部の砂漠から沿岸部の工業地域の上空を通って運ばれてくるため、その間に化学物質などが付着して日本に飛来します。粒子の細かさだけではなく、黄砂に付着した化学物質も刺激の原因となっています。
こうした自然の影響のほか、新年度・新学期が始まるこの時期は環境の変化も大きく、緊張やストレス、慣れない仕事での疲れなどから、症状が悪くなる方も少なくありません。
でも、ここでお話しておきたいことがあります。それは、花粉や黄砂が飛んでも、疲れやストレスがたまっても、日頃から吸入ステロイド薬をきちんと使って炎症の治療をしている患者さんは、症状が悪くなることが少ないということです。
