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INTERVIEW 専門の先生に聞いてみました。

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【第3回】喘息は「動く病気」。適切な治療を続ければ、よい方向に動く。

大田 健 先生 結核予防会 複十字病院 院長

現在、さまざまな病気について、その診断方法や治療方針を示した ガイドラインが作られています。喘息にもガイドラインがあります。

その作成を手がけられた大田先生に、喘息治療で大切なことを教えていただきました。

コメンテーター

大田 健 先生

結核予防会 複十字病院 院長

 

季節によって左右される喘息の症状

秋になると、「夏は調子が良かったのに、近頃はどうも調子が悪い」とおっしゃる喘息患者さんが増えてきます。原因はいろいろありますが、夏に繁殖したダニや台風(低気圧)などが原因で喘息の症状がでる方が多いようです。このように、喘息は季節性のある病気です。しかし、しばらく落ち着いている時期があっても、季節によって症状が左右されてしまうのは、喘息の「よい状態が保たれていない」ことのあらわれです。

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症状がない=よい状態?

症状がないときでも、気道の炎症は残っている

喘息の「よい状態」とは、どういう状態でしょう?
お聞きになったことがある方も多いと思いますが、喘息というのは「気道の炎症」によって起きる病気です。炎症というのは簡単にいうと、傷を負ったところが赤くなり、熱をもって痛むのと同じ状態です。とはいえ、気道は自分の目では見えませんし、また痛みも感じないのでわかりにくいですね。しかし、傷口と同じように、炎症が起きた気道は刺激に敏感になっています。そのため、呼吸とともにダニやハウスダスト、ペットの毛、冷たい空気やタバコの煙などが気道に入ってくると、それが刺激となって気道が縮み、空気の通り道が狭くなって、咳込んだり息苦しくなったりするのです。

困ったことに気道の炎症というのは、症状がないときでも残っています。ですから、症状がないというだけでは「よい状態」とは言い切れません。症状の原因となっている「気道の炎症」がしっかりおさえられていることが、喘息の「よい状態」なのです。

症状がないときでも、気道の炎症は残っている

 

気道に直接届いて、炎症をおさえる吸入ステロイド薬

気道の炎症をおさえるためには、「吸入ステロイド薬」が使われます。吸入ステロイド薬は次の3つの理由から、喘息患者さんの強い味方といえます。
1つ目は炎症をおさえる作用が強いこと、2つ目は「吸入器」という専用の器具を使って薬を吸い込むため、気道に直接薬が届くこと、そして3つ目は全身的な副作用がほとんどないこと、です。

吸入」という投与方法は、喘息の治療に多くのメリットがあります。炎症をおさえる作用が強くても、薬が気道に届かなければ意味がありません。
また、ステロイドというと副作用を気になさる方もおられるでしょう。しかし、吸入ステロイド薬で使われるステロイドの量は内服や注射に比べて少量です。さらに、内服のステロイド薬は腸で吸収され、血液をめぐって全身に回りますが、吸入ステロイド薬の場合、血液に入る量はわずかであり、また、すぐに代謝されるので、全身性の副作用はほとんどありません。

吸入ステロイド薬によって気道の炎症をおさえるとともに、長時間作用性β2刺激薬徐放性テオフィリンなど、狭くなった気道をひろげる効果をもつ薬を一緒に使うと、症状のないより安定した状態にもっていくことができます。最近では吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬が一緒に配合された吸入薬もあります。

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気道の炎症をおさえるためには、「吸入ステロイド薬」が使われます。吸入ステロイド薬は次の3つの理由から、喘息患者さんの強い味方といえます。 1つ目は炎症をおさえる作用が強いこと、2つ目は「吸入器」という専用の器具を使って薬を吸い込むため、気道に直接薬が届くこと、そして3つ目は全身的な副作用がほとんどないこと、です。

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吸入」という投与方法は、喘息の治療に多くのメリットがあります。炎症をおさえる作用が強くても、薬が気道に届かなければ意味がありません。 また、ステロイドというと副作用を気になさる方もおられるでしょう。しかし、吸入ステロイド薬で使われるステロイドの量は内服や注射に比べて少量です。さらに、内服のステロイド薬は腸で吸収され、血液をめぐって全身に回りますが、吸入ステロイド薬の場合、血液に入る量はわずかであり、また、すぐに代謝されるので、全身性の副作用はほとんどありません。

吸入ステロイド薬によって気道の炎症をおさえるとともに、長時間作用性β2刺激薬徐放性テオフィリンなど、狭くなった気道をひろげる効果をもつ薬を一緒に使うと、症状のないより安定した状態にもっていくことができます。最近では吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬が一緒に配合された吸入薬もあります。

 

喘息治療のガイドラインでも勧められている吸入ステロイド薬

吸入ステロイド薬は、日本アレルギー学会が作成した「喘息予防・管理ガイドライン2009」でも、「現在の喘息治療における最も効果的な抗炎症薬」として位置づけられています。

ここで少しガイドラインについてご説明しましょう。最近はさまざまな病気について、その診断方法や治療方針を示したガイドラインが作られています。以前は医師がどのような治療が必要かを考えるとき、経験をもとに考えるのが普通でした。しかし、それではどのような治療が適切なのかを客観的に評価するのは困難です。そのため近年は、しっかりした計画のもとで行われた研究のデータや論文など、「科学的な根拠」が重視されるようになりました。こうした根拠をもとに最良と考えられる治療を組み立て、実際の診療に役立てようというのがガイドラインです。ガイドラインは医師にとって大切なものですが、患者さんにもガイドラインがあることを知っていただき、それに沿った治療を受けたいという気持ちになっていただけたらと思います。

※最新の「喘息予防・管理ガイドライン2021」とは内容が一部異なります。

 

喘息は「動く病気」。適切な治療を続ければ、よい方向に動く

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「喘息予防・管理ガイドライン2009」では、喘息の治療方法だけでなく、治療の目標も掲げられています。それは、「健康な人と変わらない日常生活が送れること」です。適切な治療をすれば、患者さんの8~9割は目標達成が可能です。

最初に季節と症状のお話をしましたが、喘息は「動く病気」です。調子が悪くても治療をすればよくなるし、反対に油断すると調子をくずします。このように「喘息は動く」ということをわかっていないと、喜んだりがっかりしたりの繰り返しになります。けれども、吸入ステロイド薬など適切な治療をきちんと続けていれば、ずっと喜んだ状態でいることができるのです。

症状がなく調子のよい時期があっても、咳が増える、急ぎ足で歩いたときに平気だったのが苦しくなった、あるいは何となく体がだるい、どうも元気が出ないなど、ときに思い通りの活動ができないときがある方は、かかりつけの医師に相談してみましょう。

調子が悪い状態を長く続けていると、その状態が当たり前と感じるようになります。また、症状があるときだけ薬(発作治療薬)を使って過ごしている方もおられるのではないでしょうか。「調子はどうですか?」とたずねられたときに、「まあまあです…」とあいまいに答えるのではなく、どんなときに症状が出るかなどを具体的に伝えることで、「健康な人と変わらない日常生活」を目指し、医師と一緒に治療に取り組んでほしいと思います。

※最新の「喘息予防・管理ガイドライン2021」とは内容が一部異なります。

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>第13回 お薬をやめたくなっても気持ちを切り替えて、調子が良い時もしっかりお薬を続けましょう。

>第12回 特別編 対談 力富先生「喘息は症状が治まってからが勝負です」平松先生「目標を高くもって、治療しましょう」

>第11回 喘息について、検査について、正しく理解することが治療へのチカラになります。

>第10回 正しい治療を気長に続けることが何より大事。あなたの現在と将来の健康のために毎日の吸入を続けましょう。

>第9回 自分の喘息の状態をきちんと把握して、医師に伝えることが重要です。早めにきちんと炎症の治療をすることで症状をなくしましょう

>第8回 風邪などが原因で症状が出やすいこの季節、毎日の気道炎症の治療が重要

>第7回 気道が敏感な状態がよくなるには、時間がかかります 症状がおさまっても治療をやめずに、抗炎症治療を続けましょう

>第5回 喘息治療薬をきちんと続けて毎年の花粉の時期にも症状をコントロールしましょう

>第4回 喘息は、「生活環境病」 でも、きちんと治療すれば、環境に左右されにくくなります

>第3回 喘息は「動く病気」。適切な治療を続ければ、よい方向に動く

>第2回 夏は症状の落ちつく季節 それでも、喘息は休んでいません

>第1回 喘息の「誤解」をなくし、症状ゼロを目指しましょう